SES契約は受託する側にとって、さまざまな問題もはらんでいます。まずSES契約は人の稼働を増やせば増やすほど売り上げが伸びますので、稼働率を上げようと目先の仕事に飛びつきやすくなることで短期的な経営志向に陥りやすいと言えるでしょう。
単価交渉は難しい?
発注元から支払われる対価は一人あたりいくらという形のため、本来ならその人の能力に合う価値に見合う対価が支払われるべきなのに対し、価値に関係なく取引実績から一人あたり単価が決まるケースが多くなっています。
さらに発注元から値下げ圧力を受け、単価交渉を行うことが難しいケースも存在するので、受託側が質やサービス、作業効率を向上しても売上に直結しないという問題もあります。
計画的な人材育成が困難
SES契約は発注元に常駐した上で作業を行うため、人材の育成は常駐先に任せるケースが多くなり、自社で計画的に人材育成を行うことが困難です。
人員を増やすか単価を増やすか
SESで売上を向上させるためには、提供できる人の人数を増やすか、それとも一人当たりの単価を増やすかになります。
人員を増やす場合には社員数を増やすのか、外注での人員確保を行うかなどを検討することになりますが、仮に新卒で社員を採用した場合には人材育成に数年必要です。
その間の固定費も増加するので利益を圧迫することになるため、ならば中途採用で社員数を増やそうと考えても中小企業では人が集まらない現状もあります。
外注の活用は?
外注を活用したくても、優秀な技術者は単価が高く利益を減少させる可能性もあるでしょう。
一人当たりの単価は顧客に価格交渉することになりますので、現実的に困難であるケースも多く見られるようです。
まずは自社の強みの確認を
勝負すべき市場と、その市場における自社の強みを明確化していきましょう。他社にはない強みが何か、市場への提供価値は何かなどを明確にしていきます。
さらに自社の強みを生かした高付加価値のサービスを開発します。既存サービスでも付加価値を明確化できれば高単価で提供できるようになるでしょう。
そうすれば同じ従業員数だとしても多くの売上を達成でき、利益も向上する可能性が高まります。
SESの今後の問題を解消するために
企業として成長しないSESを継続することはやはり問題です。何が問題であるかを認識し、中長期的な経営志向を持ちながら自社の強みと提供価値を明確化することを始めてみましょう。
将来的な企業が目指すビジョンを定義できることで、企業が今後成長できる環境を整備することが可能となると言えるでしょう。今からできる部分から改善していくことが必要になります。