IT業界ではシステム開発の規模が大きくなるほど、システムエンジニアやプログラマといった人材は自社の社員だけで賄うことができないので不足する人材は派遣契約や請負契約などで要員を増員していきます。建築業界でもよく見られる下請け構造と同じだと言えるでしょう。
しかし平成27年に労働者派遣法が改正され、それまでの労働者派遣には、一般派遣と特定派遣の2つの区分がありました。しかし法改正によりこの2つの区分はなくなりましたので、全ての労働者派遣事業が厚生労働大臣の許可を得る必要があります。
特定労働者派遣が廃止
ただしこの許可を得るには条件が多く設けられており、条件を満たすことができないことで派遣事業から撤退した会社もいます。派遣事業が撤退されたことで、そこで働くエンジニアも同時に職を失ったということになるでしょう。
なお、現在は平成30年9月までの経過措置期間中です。そのため平成30年9月29日までは特定派遣事業も存在していることになりますので、SESと派遣を比較する際に、一般派遣と特定派遣の違いを理解しておくようにしましょう。
登録型派遣と常用型派遣の違い
登録型派遣は派遣元の会社サイトに登録するなどして、希望する仕事に応募していくといった形で人材が採用されていうという形です。
対する常用型派遣は、社員として派遣元に採用され、そこから別の仕事場に派遣されて働くという形です。
登録型派遣と常用型派遣のどちらも行う場合を一般派遣、常用型派遣のみ行う場合が特定派遣です。
・2つの派遣の違いは派遣元との契約形態
一般派遣で行う登録型派遣の場合には、働きたい人が派遣元から仕事先を紹介されて希望する派遣先に対しての派遣が決まれば雇用契約を結びます。
派遣先との契約終了後に次の派遣先が決まっていなければ、派遣元との雇用契約も同時に終了するといった流れです。
しかし特定派遣の場合は、社員として一旦雇用された後に、案件ごとにクライアント先に派遣されます。そのため派遣先との派遣契約が終了したとしても、派遣元との雇用契約がなくなるわけではありません。
3年という縛りがエンジニアを苦しめる
派遣法が改正される前までは、ITエンジニアの業務は期間制限が適用されない専門26業務に含まれていました。
派遣契約でも請負契約でも、準委任契約でも締結が可能でしたし、発注側も必要に応じた人材確保ができていました。
しかし派遣法が改正されたことで、派遣社員としった立場で開発に従事していたエンジニアは同じ派遣先の組織単位に就くことができるのは3年です。組織単位が違っていても、業務内容が同じならその就業場では働くことができません。
特殊なエンジニアのスキルが、他の組織単位での業務にマッチするかどうかも疑問ですし、3年という縛りが出たことで職を失う人が増えるといった可能性も多くなっているのかもしれません。