2023年8月12日
中野圭氏「プログラミングPHP 第4版」翻訳出版記念座談会
(山田)
今日は、オライリー・ジャパンから4月に出版された『プログラミングPHP 第4版』の翻訳をされた中野圭氏にご来社頂きました。
まず、今回の翻訳を引き受けられた経緯をお知らせ願えますか。
(中野)
コロナなどの感染症対策でStayAtHomeで自宅にいる事が増え、時間的な余裕が出たところ、たまたまオライリーさんからお声がかかりました。
(山田)
PHPの入門書は既に沢山ありますが、他との違いは何でしょうか。
(中野)
オライリー本らしく詳細の解説まで充実しております。
最近のハウツー本的な物ではなく、ANSIに準拠したC言語の書籍のように教科書的な感じです。
さらに、JSONなどその後の新たな技術も盛り込み、現実のニーズに近い物となっております。
(山田)
事前に入門書とお聞きしていたような気がするのですが、この本は「入門書」と謳ってはいませんよね。どういうレベルの読者を想定されているのでしょうか。
(中野)
中級前後位の読者だと思いますが、初心者にも勧められると思います。
(山田)
PythonやJAVAなど開発言語は多数ありますが、今、PHPを学ぶ意義は何でしょうか。
(中野)
かつては、JAVAとPHPの大きな違いはオブジェクト指向か否かだったと思いますが、
PHP4から始まりPHP5以降で使いやすく定着した、オブジェクト指向を全面的に取り入れたので、データ管理面でJAVAに遜色なくなりました。
加えて、小回りが利くと言いますか、ApacheとPHPの設定をして容易にwebプログラミング環境を構築できることも、PHPを選択する重要な要素になっていると思います。
LaravelやCodeIgniterなどフレームワークも豊富で、中小企業などのwebサイト制作や中規模のWebDBシステムの構築をする上でも中核的な存在として選択の対象になると思います。
(山田)
今回の翻訳で心がけたことはありますか。
(中野)
直訳調の硬い文章にならないように心がけました。
訳した文章を全体構造から読み直して確認していったり、必要に応じて大胆に削減したりして分かり易くしました。
逆に原文の方が、分かっている方を想定して書かれている点もあり、そういう箇所は説明を盛り込む事も検討したのですが、翻訳を超えることになりかねない為、最終的に断念した部分もありました。
(山田)
読者へお伝えしたい事があればお願い致します。
(中野)
一般にとっつきにくい印象の多い技術書ですが、この本は、草原の鳥のような爽やかなイラストの表紙となっています。
読み始めるとプログラミングの全体像が分かり易く書かれております。
今後、プログラミングをしてシステムを立ち上げたいと考えている人の最初の入り口としては、申し分ないものになっていると思います。
(山田)
この本は、どこで買えますか。
(中野)
紀伊国屋、丸善など技術書コーナーがあるような有名書店でしたら買えると思います。
その他Amazonなど通信販売でも購入出来ます(紀伊国屋のWEB通販は解説が充実しているので、是非ご覧ください。)。
(山田)
最後に何か言い残した事あればお願い致します。
(中野)
昨年来、ChatGPTなど生成系AIが登場して、かつてのシステム開発やプログラミングの世界の在り方や位置付けも変わって来ました。
堅牢なコンパイル型言語のJAVAやC++よりも柔軟で応用可能性の高いスクリプト言語を活用して、プロンプト・プログラミングからスクリプト言語まで携わると未来に役立つwebプログラマーになれると思います。
(山田)
ありがとうございました。
以上
敬称略
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中野圭:大阪芸術大学 教養課程 造形・音楽系列分科会 准教授
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山田:株式会社トリニタス 代表取締役
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