システムの受託開発や客先常駐で開発支援を行う分野で、パートナーシップ関係を構築するビジネスパートナーを募集している企業は多くあります。
今注目されているSES契約は、エンジニア不足を反映してシステム開発を行う際の作業工数を提供する契約形態です。
実際業界では自社採用でエンジニアを確保できることが少なく、新たに人材を採用しなくてもエンジニアの作業工数を確保できるため発注側の企業としてはメリットが大きい契約形態と言えるでしょう。
発注側のメリット
高い技術を持った人材を獲得しようと求人を出しても応募の機会がなく、結局求人に対する費用だけが発生して終わるといったケースもあります。
発注側にとっては、このような高いスキルを持つエンジニアに仕事を任せることができるという部分で、発注側にとっては魅力があります。
受注側のメリット
業務請負契約を結ぶ際、作業時間に対する金額を設定して契約を締結します。エンジニアの能力と工数を提供するという形のため、完成物に責任を持つよりリスクが少ないという部分で魅力です。
さらにSES契約で勤務するエンジニアも、受注側企業の雇用のもと社員として労働することになりますので雇用環境も安定します。
ただし発注者からの指示に対して、受注側企業に雇用されるエンジニアが直接受けることは派遣とみなされます。SESを提供する企業は派遣業の免許を持っていないこともありますし、他社の社員をさらに派遣するといった多重派遣になる可能性もあります。
このようなケースではいずれもエンジニアが違法行為の被害者になるため、注意が必要です。
特定労働者派遣ならエンジニアにとって安心?
特定労働者派遣事業とは、常用雇用労働者のみを労働者派遣の対象として行う労働者派遣事業です。一般派遣のように仕事がある時だけ雇用するのではなく、常用雇用される(厳密には1年以上)、期間の定めのない雇用契約を結ぶ人を派遣することを特定派遣といいます。
派遣先の仕事が終了しても雇用関係がなくならないので、継続した収入を得ることが可能となります。
エンジニアにとっては特定派遣事業を行っている企業に雇用されるほうが安心できると言えるかもしれませんが、2018年に廃止になる見通しですので今後は特定労働者派遣による雇用は期待できません。
SES契約で注意したいこと
SES契約に違法の可能性がないか、エンジニアの能力や工数ではなく成果物が対価になっていないか、そしてエンジニアに発注側企業から直接具体的な作業指示が行われていないかなど注意が必要です。
さらにエンジニアと発注側企業との間で、2社以上の企業が入っていないかも確認が必要になります。
企業側にとって不利な状況にならないために様々な点に注意することが必要ですし、エンジニアもトラブル回避の手段として弁護士保険などに加入することを検討すると良いでしょう。