真夏の雑談

【山田(司会)】

今日は、中野さんと星さんのお二人にお集まり頂きました。

中野さんは、大阪芸術大学の准教授で、コンピュータグラフィックスや芸術論がご専門です。

星さんは、日本データマネジメント協会の理事を10年以上勤められたデータモデリングやDBの専門家でいらっしゃいます。

お二人ともコンピュータ関係の技術書の翻訳出版もされております。

今日は、対談のテーマは敢えて絞り込んでいないのですが、あまり専門的な難しい内容にならないようお願い出来ればと思います。

【中野】

じゃあ、山田さんが今日の第一趣旨として、まずなんか質問を投げる。

【山田】

ああ、そうですね。

例の2024/7/19のWindowsの世界的トラブルですか。

Windowsが再起動の無限ループに陥って、

その影響で、世界各地で空港が止まったり、一部銀行や病院等にも支障が出たとか。

あれはウィンドウズOSの問題なのか、セキュリティソフトの問題なのか。

【星】

マスコミの発表だとマイクロソフトに供給している特定のセキュリティ・ソフトだったんです。

それがなんか空港あたりで大量に活用されてしまって。

【山田】  

報道もウィンドウズのコアな深い部分にまで入り込んでいくセキュリティソフトだって書いてあったり、

別の記事では、いや、そんなことはないって書いてあったり、なんか原因もよく分からない。

【中野】

画面が真っ青になったり、ブラックアウトしたりするのは恐ろしい話。

単にちょっと動きが変だというレベルじゃないですね。

最近は、ウィンドウズ依存がますます進んでいて、ウィンドウズテンが最終バージョンと言われてた。

安心してたらテンじゃなくて、イレブンだとかいうじゃないですか。

果たしてこのままウィンドウズを世界中で使ってることがいいのかっていうことは、

最近すごくよく考えていました。

リナックスへの乗り換えも考えた方がいいんじゃないかと。

【星】

かなり前ですけど、ハンブルグが、行政のシステムでウィンドウズを使わずに全部他でやってたんですよ。

だけど結局、使えるツールとかの関係で、ウィンドウズになっちゃったんです。

ヨーロッパも今の所、どこの会社でもデスクトップはウィンドウズだし、これはどうしようもないかなと。

で、サーバーは、ユニックスとか色々ありますけど。

【山田】

ウィンドウズテンも来年でサポートが終わっちゃうって、報じてましたね。

【中野】

そこでまたウィンドウズ11に延びたんですけど。

【星】

そういうアップグレードにわざわざ対応しなければいけないっていうのはちょっとあんまり気乗りしない。

【山田】

Windows10から11へのアップグレードは難しいようなこと、書いてあったような気がしたんですが。

【中野】  

スペックの問題

【山田】

そもそも私に言わせれば、ハッキングだとかウイルスだとか。

OS自体に問題あるのではないかと思うんですけどね。

損害賠償とか法的問題にならないのでしょうか。

【星】  

されない契約になってるんですね。

不平等契約っていうか。

【山田】

今回のトラブルでも、中国やロシアは独自OSを使ってるらしくて、被害は起きなかったみたいに報じてましたけど。

【中野】  

中国はリナックスベースのOSだと思いますが、クロームブックはどうですか?

クロームOSもセキュリティ問題はあるっていう。

最初は良さそうに思ったのですが。

【星】

買ったけど、結局、あまり使いませんでした。

【中野】

学校利用のセキュリティ問題がそうですから。

【山田】

私も1台クロームブックは持ってますけど。

【星】

私も持ってますっていう、そういう状態。

【中野】

結局、ウィンドウズイレブンにしてまた仕切り直して。

【星】

最近のOSはGUIで、昔のようなCUIでは無くなっていますし、まあ仕方がない事だと思いますけど。

【中野】  

もう今となってウィンドウズテン以降のウィンドウズを選択するっていうのは

システムプログラミングするってことが全くなくて、電気製品として便利で使わざるを得ないっていう品物になってしまっていて。

他にプログラミングをするにしてもできますけど、それは何か局所的なアプリ制作程度になってしまって、

ウィンドウズサーフェイスとか、ユニックスの初期とかゲットリナックスとか、コアの機能だけのリナックスとかに対して接するようなものでは、もはやなくなってくる。

【星】  

その電気製品っていうのはいい表現じゃないですか。

もはや電気製品ね。

普通の家電買ってプログラム入れる人いないし、段々そうなって来るんじゃないかな。

【中野】  

そうです。

強いて言えば、ラズベリーパイなどマイコン関連がどうなって行くか。

【山田】

最近は、ITセキュリティが一般ユーザーにまで対応を求められているじゃないですか。

そういうのは、少しおかしいんじゃないかという気がしないでもないですね。

システムエンジニアでもないのにセキュリティソフトをちゃんとやれとか、ルーターにセキュリティー装置設置しろとか一般ユーザーの負担が気になります。

【中野】

便利なように見えて、ある意味では簡単にアクセスができるようになって、ハッキングの恐れとか様々なことを含む問題が出て来た。

【星】

昔、沖縄にコールセンターがいっぱいあったんですよ。ただその頃はハッキングとか、そういう話はそんななかったんですよ。今思えば、のんびりしていた。

【中野】 

昔は、そもそもウイルスソフトみたいな。

【星】

そんな概念ね。

【中野】

その頃は使う人が、今より限られてた。

【山田】

昔は、エクセルマクロにくっつくウイルスとかありましたね。

パソコンがラルーだらけになっちゃったりして。

だけど、あれはただ勝手に増殖するだけで何もしなかったんで、まだ可愛い物でしたけど。

【中野】 

ところで、私はAIに関して少しやってるんですが、概論としてよく参照してるのは、日本の総務省が発表している白書。

AIのこれまでの全体的な動きというのがあって、それは大きく分けると3回あった。

一回目は1950年代以降のことで、最初にコンピューターシステムが世界に出回った時。

あっという間にできるだろうという期待感があって、実際、その夢は、例えば鉄腕アトムとかドラえもんとかのような物として描かれていた訳です。

しかし、それは頓挫したり、単なる簡単なインタラクションによって答える人工知能が出来て、アリスとかですね。

そういう物が出来たりはしたんですが、自律的なロボットが出来る事は無かった。

しかしながら、一部のそのロボットは産業用として発展して、日産の工場とかによる自動車の製造において、画期的な新しい物を作ってはいた。

それで一回、冬の時代っていうのが、来るわけです。

冬の時代が来て、次に第2の波が来た時期があって、1980年代半ば位に来たんですね。

その時は、知識ベースと言って、私が関わったAIの中ではセマンテックWebとか。

背景としては、知識ベースですから、80年代後半あたりも第2の波によって人工知能かロボットが出来るんじゃないかみたいなことが期待された。

それも結局、バブル崩壊したとともに潰えた。

その構想自体に中途半端さがあって、ある限定された機能の中で、解を出すんだろうけど、結局それが論理的な判断によるものが大半で。

実際その頃作られたものの一つが、HTMLとエックスになる。

データ構造を明確にして、それを指し示すモデルが作れれば、やがて出来るだろうと当時言われましたけど、

それですぐにドラえもんとか鉄腕アトムが登場したわけでも無い。

どちらかというと、そのタイミングで90年代中にまた失敗の時期がありまして、

その時期から、現在まで至ってるところにシステム開発業の流れもあるんだろうと。

 

そして、また2000年代半ば位に出てきた第3の波がありまして、これが、機械学習。

大規模データベースを背景としたエンジンでした。

実際、私もそのタイミングで、2007年当時に音楽の人工知能という研究に入ることができた。

そんなアウトプットとしてボーカロイドとか初音ミクとか出されるとか、これは面白い物だと思うけど、これがすべてと言われて納得するのか?

そんなことで始まったのがゴロゴロとあって。

その頃からディープラーニングとかディープラーニング自体が2010年ぐらい前後?

それが決定的な動きになって、その前から機械学習の研究は、少しずつ進んでたんですけど、この機械学習の研究開発のバックボーンとなったのが、まさにデータベースなんです。

このデータベースがどんどん発展していった暁というのは、やっぱりWebとWebの利用によるデータの大規模化ですね。

そういったことが90年代から始まって、2000年代半ばぐらい2000ゼロ年代半ばぐらいですね、実際の物となっていって。

連携処理で動いていた機械学習と強化学習が、実際にどういう物なのか

2010年前後のディープラーニングの発表によって、それが明らかに。

【山田】

するとAIの基本は、データベースが非常に重要な位置を占める。

画像や音声などを扱えるデータベースというのは、凄いですね。

【星】

一応概念はあるんですよ。ユニバーサルデータベース。

要するにスーツ系とかキャラクター以外にもニュースとか、色んな物も含んだ。

それこそユニバーサルデータベースの冒頭になったのは、インフォミックスにちょっとアタッチメントつけて、ユニバーサルDBを始めたっていうのが結構昔ですけど、あって。

そしてそのユニバーサルデータベースの前にあったのが、データマートとか。

【中野】

そのUDBのあたりが第2の知識ベースの範疇だったってこと?

・・・・

------------------------------

話は、まだまだ続きますが、段々専門的な話になって来ましたので、

今回は、この辺りで終了させて頂きます。

(2024年8月19日収録)

==============================

星 芳彦:システムエンジニア。
     日本データマネジメント協会元理事
     翻訳出版:『リレーショナルデータベースデザインハンドブック』(1988年)

中野 圭:大阪芸術大学 教養課程 造形・音楽系列分科会 准教授
     翻訳出版:『プログラミングPHP 第4版』(2023年)

山田:株式会社トリニタス 代表取締役

==============================